先生が苦笑しているとせんせい

母さんの言うことはきかなくていいのだ

さあ、気にしないで、気にしないでと声をかけられるよりも気にしないようになると、気にしなくなるさと、ぼんやりしたいい方をされる方が
なんだか、心が知らず知らずの無意識のうちに、暖まってくるな,と、思えるのですじんと心がぬくもって、のびのびすると、いつの間にやら、やる気が湧いてくるわけですねたとえばこんなことって、よくありますねちょっとしたトンネルのある通路の向うに、子どもの遊び場があります。
コウジくんは、そこへ、ひとりで行こうとはしない。
みんな、向うで遊んでるのよ、いいよ、ボク
コウジ。
おまえも行ってきたら?
うう?
なんだか曖昧ないい方で、そっけなく興味関心がないようなのは、実は、過去のいやな体験にこだわっていて、だれでも行った者がみんな、おもしろいよ、というトンネルの向うの遊び場のことには、コウジくんは話でさえ触れたくない、ということになっていたりするわけです。

  • 子供の我がままです。
  • 母親がパートタイマーで働き
  • 父親だけを見ることになって

子どもの関係は遠くなってしまうことになる。

元気者、やんちゃ者で通っているコウジにとって、のウィーク·ポイント、というかどうやらトンネルの向うの遊び場が、ひとつだって、お母さんにだっていえないことながら、あの遊び場のことは、どうにもす。遊び場というよりは、どうしてもくぐり抜けねばならぬあのトンネルが。
こわいので「えっ!!
あのトンネルがこわい!?
コウジくんが?
ウッソー」
隣のおばちゃんなどが聞けば、素っ頓狂にそういってびっくりするでしょう。
絶対にいやだ。本心をだれにも知られたくない。元気者で通っている自分のメンツを、そんなことで、いちじるしく傷つけられるのは。
と、こだわってしまっているのです。子供ではないから関係ないという考えなのです。

子どもがあるのです。
子どもがあるのです。

母さんに関係ないことでしょ。

実は、この春のある日、コウジは、なにげなく外へ出ていて、ふと、遊び場へ行く気になり、さっさとトンネルへ足を踏みいれたのでした。
ひとりでトンネルを抜けて二、三歩入った所で、首にヒヤリと触れるものがあり、ドキンとして、振り向きながら手をやると、なにか冷たいものが上から落ちて、首元が濡れている。エエッと上を向いた途端に、ドドドと得体の知れない音が、目の前に黒々と続くトンネル全体に響き渡ったので、体がこわばって、そこに立ち止まってしまったわけなのです。
トンネルの右上に、カーブした車道があり、そこを西行きでカーブしていくトラックの音が、風向きによっては、異様にトンネル全体に反響するのですが、小学1年のコウジに、そんなことが分かるわけがありません。
なんだかこわくなって、思わず、早く通り抜けよう早く、と駆けだしたのですよね。思わず目を閉じて。でもつまずきそうになったからすぐさま目を開けたとき、トンネルの向うの出口は、なんだか無限に遠い、という感じがしたのですねだからこそもっと急いで、ともっと足を速めようとしながら、ひょいと、どうしてか、る間じゅう、このこわさに耐えられるかどうか、突然、自信がなくなったのです。

子どもが内向的なタイプだったり一人っ子の場合

走り抜けこわくなって夢中に駆けだしたから、七〇メートルほどのトンネルの、ほぼ真ん中にまで、すでに来ています。ヒューッと冷たい風が吹いて、ポタンと落ちる水滴の音が淋しげに響いた途端、コウジくんは、前と後ろを見比べ、来た方も、これから行く方も、限りなく暗い道と思ったら、もうじっとしておれなくなり、前へ振り向き後ろへ振り向き、一目散に、もと来た道を、駆け戻ったのでした。怪物が、今に襟首を掴むのではないか。そう思ったら、生きた心地がしません。足がもっれてしまって、もどかしくて走れない……。
その日から、毎晩夢に出るのです。襟首を、今に怪物に掴まれる掴まれるという恐怖にかられて逃げようとしても足の動かない、トンネルの中の、あのこわいこわい情景が真夜中、目が醒めると、ひや汗びっしょりです。

教育法がへ

二段ベッドの下段で、上を仰いで兄のシンイチがいることを、なんとか心の頼りにしながら、子どもだから、やがてはふたたび眠りにつくものの、醒めている間の不安さはたまりません。
子どものメンツを潰すようないい方をしていないか
何度かボクは行きたくないからというのを聞いて、その顔つきを見て、お母さんは
まあ、コウジ。あのトンネル通ってくの、こわいのでしょと見抜いてしまいました。
違うよ違うよ!と、コウジは懸命に否定しましたが、
それじゃあ、どうして?みんなあそこのシーソーもジャングルジムも、すごく立派でおもしろいっていうのに。ロープのはしごなんかもあって、いろんな遊びができるんだってよ?

ふーん。いいよ。母さん好きなら、母さん行ったら?

大人が行くとこじゃないでしょ。ねえ、行ってらっしゃいよ。

母さん待ってる
母さん待ってる

子育てに責任感を感じて一生懸命だ

やっぱりこわいのね、トンネルみんなの前で、偉そうにしているくせに。変ねえ。行ったことないんでしょコウジは、そういって、ほとんどおもしろ半分にからかうようないい方をする母親に、この間の恐怖など、話す気持などありませんでした。
人間って、こんな風に、ひょんなことから、思いがけないところに、ウィーク·ポイントができてしまい、こだわりが固着してしまって、そのことだけは、どうにも始末がつかない、ということになったりするのですね。


子供ではないから関係ないという考えなのです。 いじめるそうです。 いじめるそうです。